キャプティブ保険子会社を、どの部署に担当させるべきか?

専門のリスク管理部を持たない日本企業にとって、キャプティブ保険会社をどの部署に担当させるべきかは悩みどころです。今回は、日本企業の実情をふまえたキャプティブ保険導入の組織編制について解説します。

 

こんにちは、ハワイ州キャプティブ保険マネジャーの三澤です。

今回は、「キャプティブ保険子会社を、どの部署に担当させるべきか?」というテーマです。

こんな内容のお話をしていきます。

 

  1. キャプティブ保険子会社は、専門のリスク管理部が担当するのが理想です。

  2. リスク管理>保険

  3. 欧米企業の多くは、リスクをファイナンスで考えます。

  4. 日本企業の対応は様々です。

 

1. キャプティブ保険子会社は、リスク管理部が担当するのが理想です。

 

結論から言ってしまうと、キャプティブ保険会社は、専門のリスク管理部が担当するのが理想です。

私は以前、大手の米国企業のキャプティブ保険会社を委託管理していました。

その経験では、キャプティブ保険子会社を専門のリスク管理部に管轄させているケースが多かったです。

そういった企業では、リスク管理をキャリアとしてきた専門グループが、保険を含むリスク管理業務に従事し、CRO(リスク管理最高責任者)に報告しています。

 

とは言ったものの、現実的な話として日本企業でリスク管理部や、リスク管理部長という役職を持っている企業はごく一部の上場企業だと思います。

とりあえず、リスク管理の最先端とあるべき論として、そんなものかと思っていただければOKです。

 

2. リスク管理>保険

 

キャプティブ云々の話の前に、先ずは保険とリスク管理業務の関係についてお話ししたいと思います。

「リスク管理=保険」だと思っている日本企業は、実は結構多いのではないでしょうか?

「リスク管理>保険」というのが本来の姿です。

 

「保険を購入する」という行動の本質は、「リスクの外注」です。

毎年、保険会社に保険料を支払う代わりに、万が一のリスクを負ってもらうわけです。

これは企業がリスクを管理するための、一つの手法です。

 

「リスクを外注する」という選択肢の裏には、当然「リスクを外注しない」という選択肢も存在します。

火災保険を例にとった場合、「リスクを外注しない」という選択肢には、次のようなものが含まれます。

 

  • リスクを未然にふせぎ、最小化する(例:火気厳禁の徹底、業務プロセスの見直し、リスク管理意識の向上)
  • 起きてしまった事故の被害を最小化する(例:耐火設備の導入、災害時マニュアルの導入、避難訓練の実施)
  • 事故対策資金の蓄積(例:資金調達、キャプティブ保険会社によるリスクの保有)
  • 保険調達の高度化(例:キャプティブ保険会社による再保険の手配)

 

リストには入れませんでしたが、「何も対策しない」というのも一応は選択肢の一つです。

こうしてみると、リスク管理業務には「保険を購入する」以外にも様々な業務が含まれていることがわかります。

 

3. 欧米企業は、リスクをファイナンスで考えます。

 

リスクを管理する方法は色々ありますが、どの手法で実施していくのかを検討する必要があります。

欧米企業では、どの施策がリスク管理に効果的であり、費用対効果が優れているかを、ファイナンスの手法で判断しています。

保険を購入した場合と、しない場合のキャッシュフローの現在価値を比較検討するのです。

これを、リスク・ファイナンスと言います。

事業計画の策定と同じようなアプローチです。

もちろんキャプティブの設立と運営についても同じアプローチを採用します。

 

特にキャプティブ保険会社は、保険会社ですので本質は金融子会社です。

金融証券である保険を取り扱っているうえ、業務に投資活動が含まれます。

 

キャプティブ保険会社の運営には、財務の理解が不可欠なのです。

 

先ほど、理想論としてはリスク管理部がキャプティブ保険会社を管轄するべきというお話をしましたが、CRO職がある欧米の企業もごく一部です。

ほとんどの欧米企業では、リスク管理チームは財務部の一部であり、CFO(財務部長)が直接管轄しています。

結果的にキャプティブ保険会社の管理も、財務部の管轄になります。

 

4. 日本企業の対応は様々です。

 

 

日本企業の場合、リスク管理部を持っていなケースが多く、キャプティブ保険会社をどの部署に担当させべきか迷われるケースがあるようです。

残念ながらこれが正解というものはありません。

企業の内情を考慮しつつ、ケース・バイ・ケースで対応してくのがベストです。

日本企業がキャプティブ導入を検討する場合、総務部が中心となってプロジェクトを進めることがよくあります。

これは通常の保険購入を総務部が担当しているためです。

総務部が法務の機能を兼ねている日本企業が多く、難解な保険契約を法務担当者に見てもらいたいという事情があるのだと思います。

これは日本企業に特有の事情です。

前述しましたが、キャプティブ保険会社の運営には、ファイナンス(財務)の側面が多分にあります。

総務部が中心となってキャプティブ保険を導入する場合は、財務部から十分なサポートを受けられる体制を整えてください。

 

日本のある程度の大企業の場合、経営企画部が中長期的な経営企画の策定や経営管理を担当していることがあります。

経営企画部には高い財務能力を持った方が多く、全社的な視点で仕事をされている方も多いと思います。

先ずキャプティブ保険会社の導入を検討する際には、財務部と法務部のサポート得ながら経営企画部が導入の検討・設立を担当し、設立後は経営企画部と法務部のサポートを得ながら財務部が継続的な運営を担当すると良いかもしれません。

 

中堅のオーナー企業の場合は、社長の直轄プロジェクトとして進めることが重要になります。

オーナー企業である以上、オーナー社長の裁量無しにキャプティブ保険会社を導入することはできません。

財務能力のある担当者を人選し、社長を中心にキャプティブ設立検討のプロジェクトチームを組んでください。

設立後は財務部のサポートを受けながら、社長の直轄案件としてキャプティブ保険子会社の運営を直接監督するのが理想です。


 

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