ミクロネシアってどうなの? その2

日系キャプティブに特化したキャプティブ設立地として急成長を遂げたミクロネシア連邦。今回はその魅力をご紹介いたします。

 

こんにちは、ハワイ州キャプティブ保険マネジャーの三澤です。

今回も引き続きミクロネシアについての投稿です。

 

前回の「ミクロネシアってどうなの? その1」はミクロネシアのウンチクとグルメの話で終わってしまい、肝心のキャプティブの話ができませんでした。

今回は、本題であるキャプティブ設立地(ドミサイル)としてのミクロネシアの魅力を中心にご紹介いたします。

 

ミクロネシアはシンガポールの後任?

日本企業が選択するドミサイルには、その時代ごとの傾向があります。

 

1980年代は、圧倒的にバミューダなどのカリブ海地域が人気でした。

これは、ドミサイルとしてバミューダの知名度が圧倒的に高く、他に妥当な選択肢が存在していなかったからでしょう。

 

1990年代に入るとドミサイルの選択肢が増え、日本企業の多くはシンガポールを選択しました。

日本から地理的に近いことや、税務面で優遇が受けられるといったメリットがあったためです。

しかし90年代後半に日本国内でいわゆるタックスヘイブン税制の整備が進み、日本企業にとってのシンガポールの優位性が低下しました。

ハワイ州にも、当時シンガポールからハワイ州に移転してきた日系キャプティブがあります。

 

シンガポールに代わる日系キャプティブの受け皿として、2006年に登場したドミサイルがミクロネシアです。

それまでミクロネシアにはキャプティブ保険法がなかったわけですが、ミクロネシア政府が主に日系キャプティブを受け入れるために新たに法整備をしたという背景があります。

 

ドミサイルとしてのミクロネシアの魅力とは?

現在ミクロネシアでは25社のキャプティブが運営されていますが、この全てが日本企業のキャプティブです。

ミクロネシアがキャプティブ法を制定したのは2006年ですが、25社のほとんどがこの10年ちょっとの間に設立されたものだと思われます。

後発のドミサイルとしては、驚異的な成長です。

全世界の日系キャプティブ総数が100社強と言われているので、近年の日本企業キャプティブの設立をリードしてきたと言えます。

 

ミクロネシアは、なぜ日本企業に選ばれるのでしょうか?

 

以前、「ハワイ州キャプティブ業界を支える3つの柱」というお話をしましたが、今回ミクロネシアを訪問して実感しました。

ミクロネシアにも3つの柱はあります。

 

ミクロネシアの一番の特徴は、日本企業に特化したドミサイルであるということです。

ドミサイルの運営には、キャプティブ保険法やサービスインフラの整備が欠かせません。

このプロセスには、企業からのインプット、サービスプロバイダーのサポート、そして何より政府によるコミットメントが欠かせません。

ミクロネシアでは企業・サービスプロバイダー・政府の3者が、日本企業の利便性を最優先に協力しあっているのです。

こんなドミサイルは、世界中どこを探してもミクロネシアだけです。

日本企業のニーズを敏感に察知し、速やかに対応できる機敏さが、ミクロネシアの魅力なのです。

 

日本企業へのコミットメントは、ドミサイル運営のいたるところに反映されています。

例えば現在のミクロネシアの連邦税は21%ですが、これは日本のタックスヘイブン税制を意識した税率です。

日本円でのキャプティブ運営も全面的に認められており、日本円で連邦税を納税することも可能です。

また日本の会計基準での監査や、日本の銀行の海外預金口座の使用なども認められています。

外貨建てに抵抗がある日本企業には、非常にありがたい仕組みだと言えます。

 

また現地オフィスや現地スタッフも、比較的安価に調達できます。

既存のキャプティブが利用している貸しオフィスを見学させてもらいましたが、個室・家具・電話回線・WiFiなど保険会社のオフィスとしての要件を全てみたす立派なオフィスでした。

部屋ごとに室温を管理できるエアコンがあり、室温の微調整ができない弊社のオフィスより快適です。

WiFiも高速の特別回線を利用できるため、ストレスなく仕事ができる環境でした。

取締役会を開催する会議室も併設されており、非常に便利です。

また現地スタッフが実際にオフィスで保険業務を行っており、スタッフに対する給与の支払いも正規の手続きで行われていました。

 

ミクロネシア連邦政府は定期的に日本でキャプティブ保険セミナーを開催しており、日本におけるキャプティブ保険の普及にも積極的です。

今年のセミナーは、11月13日に東京で開催される予定です。

もちろんアラカイも出席します。

 

最後に、ミクロネシアの魅力を語るのにMicronesia Registration Advisors (MRA)の存在は欠かせません。

MRAはミクロネシアの連邦政府や議会などをサポートしている現地の会社で、ミクロネシアのキャプティブ保険業界を支える縁の下の力持ちと言える存在です。

現地に日本人スタッフの方が3名常駐しており、現地を訪問する企業に日本語できめ細やかなサポートを提供しています。

 

日本企業がキャプティブを運営する際に、言葉の壁は大きな問題です。

ハワイ州にも日本語が話せる方は多いですが、サービスプロバイダーによって対応の度合いはまちまちです。

ミクロネシアでは、現地のMRAと日本国内のサービスプロバイダーからサポ―トを受けられるため、言葉の壁は限りなく低いだろうと思いました。

先述の貸しオフィスの調達や現地スタッフの雇用なども、MRAにサポートしていただけるので現地に不慣れな日本企業も安心です。

 

私も滞在中の面談アポをお願いしたり、オフィスを貸していただいたり、素敵なディナーに招待いただいたりと、MRAスタッフの方に大変お世話になりました。

本当にありがとうございました。

 

次回は、滞在中の体験談を交えてミクロネシアの魅力をご紹介します。

その3へ続く…