キャプティブの本質は、「究極の責任感」

こんにちは、ハワイ州キャプティブ保険マネジャーの三澤です。

 

先日、ジャコ・ウィリンクとレイフ・バビン共著「Extreme Ownership」という本を読みました。著者は、米海軍の特殊部隊SEALの少佐としてイラク戦争を戦った元兵士で、除隊後に軍隊経験を基にEchelon Frontというリーダーシップコンサルティング会社を経営している二人です。アメリカではベストセラーになっていますが、まだ日本訳は出版されていないようです。ウィリンク氏がTEDxで「Extreme Ownership」について話しているビデオがYouTubeにあるので、英語のわかる方は見てみてください。

 

 

Extreme Ownership」とは、優秀なリーダーが持つ「究極の責任感」のことです。自分のリーダシップ力を強化するヒントになればと読んでみましたが、これはキャプティブにも通じる話だと感じました。

 

日本の企業文化には、責任の所在が分かりにくい側面があると思います。何かを決定する際に全員の意見が一致するまで延々と議論したり、一つの決済にいくつも捺印が必要だったり。誰に決断の責任があるのかわかりにくいことも多いと思います。和を大切にする日本文化の表れでもありますが、同時に決断の遅れなどの弊害があるのも確かです。

 

ちなみに責任の所在という視点で保険という仕組みを見てみると、非常に面白いです。保険とは、問題が起きた時に他の誰かに責任を取ってもらうためにお金を払う仕組みといえます。言いかえれば契約で責任転嫁をする仕組みです。もちろん保険は契約ですので、保険契約の約款をきちんと読めば責任の所在はハッキリします。しかし私がキャプティブの仕事をしていてよく見かけるのは、会社経営者が自社が抱えるリスクの性質や保険契約の内容をよく把握していないことが多いということです。

 

「保険を買っているから大丈夫」

「保険会社の担当者に任せておけば安心」

「何かあれば保険会社が何とかしてくれる」

 

背景にはこういった安易な考え方があるのかもしれません。

 

Extreme Ownership」の考え方では、これは責任放棄にあたり、大きなミスを招く重大な問題です。軍隊組織であれば死や敗北を意味し、会社組織であれば業績悪化や倒産に繋がることもあります。自社のリスクは、経営者が責任をもって管理する。組織の存続と成長のために必要なのは、そんな「究極の責任感」かもしれません。

 

その点、キャプティブをフル活用している企業は自社のリスクをよく理解し、保険会社とも対等な立場で付き合うことができます。自社で保有すべきリスクはキャプティブで保有し、保有できないリスクは保険を買うかもしくはキャプティブを通して再保険を手配します。キャプティブは、「究極の責任感」を持って自社リスクと付き合うための仕組みです。

 

「究極の責任感」で自社のリスクと向き合い、リスクと上手に付き合っていくことが、会社経営者には求められていると思います。